ある日、いつものようにお米を炊こうとしたら何か黒っぽいものが見えることがあるかもしれません。
何かの破片かな?と目を凝らしてみると…
ギャアアアアアアア!!
とまあ、こんなこともあるかもしれません。
栄養豊富なお米は他の生き物にとってもごちそうです。美味しそうなにおいに惹かれて虫がやってくることもあります。
発見したのはいいけど、その前にすでにそのお米を食べてしまっていたら、大丈夫なのか心配ですよね。
この記事では虫のついたお米を食べてしまっても大丈夫か、虫を防ぐためにはどうしたらいいのかを解説します。
お米につく虫は無害!仮に食べてしまっても問題なし
基本的に、お米に着く虫というのは毒があるわけでも有害な病原菌を持っているわけでもないので、かじられたお米を食べても害はありません。
極端な話、虫ごと食べてしまったとしても健康に問題はないでしょう。気分はよくないかもですが…
体質によってはアレルギーを起こす場合も考えられるので、積極的には食べない方がいいですが(そんな人いないでしょうけど)。
精米技術の発達した現代では市販される前の精米の段階で虫がいても取り除かれるので、市販のお米の中に虫が混じっていることは滅多にありません。
が、まれにお米の内部に侵入して選別をすり抜けてしまう者や、市販の袋に穴を開けて侵入してしまう困ったさんがいるのです。
それこそ昔はお米に虫が侵入することは普通だったので、見つけるたびにつまんで放り出していたようですね。遺跡の発掘などでこうした虫の化石があれば「ここが食料庫だったのだな」と判定できるのだとか。
むしろ虫がいるお米は残留農薬のない安心安全なお米ともいえます。
たとえ虫が見つかったとしても、風通しのよい日陰に新聞紙などを敷き、お米を広げてしばらく放置しましょう。虫たちは光を嫌うので逃げていってしまいます。
虫たちがいなくなったお米はちゃんと食べることができますよ。
とはいえ昔は昔、今は今。大丈夫だとわかっていても生理的にイヤだ!という人も多いでしょう。
それではお米につく虫の特徴と防ぎ方を解説いたします。
お米につく虫ツートップの特徴
防ぐには、まず相手を知ることからです。お米につく虫は数種類いますが、ここでは代表的な2種類の虫について知っておきましょう。
コクゾウムシ(穀象虫)
穀物につく象みたいな鼻の虫、でコクゾウムシです。実際は鼻ではなくて口ですが。
米粒の中に卵を産み、約1ヶ月で成虫となって出てきます。そのためお米の中に突然成虫がテレポートしてきたように見えます。
米粒の中に潜伏して精米をすり抜けることもあれば、外から侵入することもあります。
お米のほか麦、トウモロコシ、乾燥パスタなども好き。
低温に弱く、冷蔵庫くらいの温度だと活動が鈍って繁殖もできません。冷凍庫に1週間くらい入れておくと成虫も幼虫も全滅します。
また日光が嫌いなのでお米を明るいところに広げておくと逃げて行ってしまうといわれています。
ノシメマダラメイガ(熨斗目斑螟蛾)
羽が着物の熨斗目模様に似ていることから名付けられた蛾。蛾とハエの中間のような、細長くてパタパタと飛んでいるやつです。
家の中を成虫が飛んでいたら幼虫もいると疑った方が良いでしょう。
お米を食べるのは幼虫の時で、玄米の糠を食べて白米にしてしまいます。他にも小麦粉やスナック菓子が好きです。
幼虫自体は白くて小さいので見つけにくいですが糸を出してお米をだんご状に固める習性があり、それで気づくことがあります。
この虫の厄介なところはビニール袋くらいなら突き破って入るくらいの力の強さです。お米を買った時のままの袋に入れておくと被害に遭いやすいです。
虫を防ぐポイント
虫たちの特徴を理解した上で、この子達の侵入を防ぐ方法をまとめました。
買ったお米はすぐに保存容器に移す
先に解説したノシメマダラメイガなどはビニール袋を突き破って侵入することもあります。またお米の袋には細かい通気穴が空いているので、そこから匂いが出て虫を寄せ付ける原因にもなります。
買ったお米はすぐに米びつなどの密封容器にしまうようにしましょう。
米びつがない場合はペットボトルに入れて冷蔵保存が安心です。
こぼれた食べ物を放置しない
お米を食べる虫になぜ来たのか、と聞くと
「そこに米があるから」
と答えるでしょう。
冗談はさておき、床にこぼれたお米や食べ物を放置しておくと、それをエサにする虫たちが寄ってきます。
そこからお米の容器に侵入するのがもっとも多い侵入経路なので、逆に言えばお部屋を清潔に保っていれば最大の予防となります。
こぼした食べ物はすぐに処理して、容器はしっかり密封。これが最大の予防法といえるでしょう。
保存はなるべく低温で
お米は食品の中では保存がきく方なので、常温で保存している方が多いかと思います。
ですが他の記事でも紹介したもろもろの理由もあり、冷蔵庫で保存するのが理想的といえます。
またお米につく虫たちは低温に弱いので、万が一はじめからお米の中に潜伏していたとしても成長も繁殖もできなくなります。
最初から入っているかもと考えるのは気分が悪いかもですが、可能性は限りなく低いですし、無害な子達なので気付かなければいないのと同じです。あまり神経質にならなくても大丈夫ですよ。
唐辛子で侵入防止
トウガラシにはカプサイシンという辛味成分が多く含まれています。
人は神経にカプサイシン受容体というものがあり、それが反応して辛さや痛みや灼熱感を感じるのですが、実は昆虫にも同じカプサイシン受容体があるために彼らは唐辛子を危険と感じて避ける傾向があります。
ちなみに鳥にはカプサイシン受容体がないため、唐辛子をバクバク食べてもケロッとしています。
この唐辛子を米びつ内のお米の上に置いてやれば虫の侵入を防いでくれます。
ただしすでに虫が底の方にいる場合には効果が届かない可能性もあります。あくまで侵入防止と思っておきましょう。
開けた一瞬のスキに入られるのを防ぐ、というだけでも安心感がありますね
大丈夫とはいえ、あんまり見たくないよね…
というわけで、たとえ虫が出たとしてもお米は食べられます。
生産者としては虫が食べるのは安心・安全なお米だということは強調しておきたいのですが、とはいえできれば虫は見たくないということで、防ぎ方も一緒に解説しました。
最初に現れたのを見たときはビックリしたかもしれませんが、決してあなたがズボラなせいだとか家に問題があるというわけではありません。
昔から人はコクゾウムシそのほかの米食い虫たちと共生してきたのです。
あまりショックを受けず、今まで通りに美味しくご飯を食べてくださいませ。
それでは!
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