日本を代表するお米の品種、コシヒカリ。
お米の種類にはそこまで詳しくないという方でも、その名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
もちろん、私たち美・SOILでも主力の品種となっています。
しかし、お米の品種の違いなんて実はよく知らない…なんとなくイメージで選んでいる、という人も実はかなり多いのではないかと思います。
というわけで他の品種に比べた場合、コシヒカリってどうなの?という点をご紹介したいと思います。
美味しいお米代表、コシヒカリの味と特徴
世界に数あるお米の中でも、コシヒカリの味は特に日本人に美味しく感じられるとされています。
美味しさは主観的なもので人によっては感じ方が違うという意見ももちろん正しいのですが、科学的に説明できる部分もあります。
特徴その1 適度な粘り気
コシヒカリの美味しさの秘密はそのもちっとした粘り気と甘味です。
コシヒカリの絶妙なもっちり感は、デンプンに含まれる「アミロース」という成分の比率に左右されます。
デンプン中のアミロースの割合が低いお米ほど、粘り気が出てもっちりとします。コシヒカリのアミロース比率はおよそ18〜19%程となりますが、これがパサパサすぎず、ネバネバすぎない絶妙な値となっています。
この絶妙なアミロース比率によって、モチモチしてなおかつ汎用性の高い美味しい食感を生み出しているのです。
ちなみにアミロース比率が22〜23%くらいになるとパサついたお米になり、チャーハンやピラフのような食べ方でないと美味しくない…ということになります。
いっぽう、さらにアミロースを低くし、もっちり感を増した低アミロース米というものも存在します。ミルキークイーンなどが代表ですね。
特徴その2 芳醇な甘味と香り
コシヒカリを食べると感じる甘味は、数あるお米の中でもトップクラスといわれています。
参考サイト:お米の種類と特徴を知って、自分好みの銘柄米を見つけよう!
甘味の正体は、デンプンが口の中で麦芽糖(マルトース)に変化することで生まれます。この麦芽糖が生み出す甘味が人間の脳に多幸感を与え、日本人を無意識のうちにお米を求める体へと導いてしまったのです。
ちなみに麦芽糖は小麦から作られるパンにも含まれるため、西洋ではパン、東洋では米がなくてはならない食材となりました。
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は著書「サピエンス全史」の中で小麦なしにはいられなくなった人類を指して「小麦の奴隷」と表現しています。
で、この麦芽糖による甘味が非常に高いのがコシヒカリ。
日本の全ての稲作の中でのコシヒカリの作付け比率は2016年のデータで36.2%。堂々の1位を続けています。
コシヒカリの魅惑的な甘味と、その支配的な人気から考えると日本人はまさに「コシヒカリの奴隷」と化しているのかもしれません…。
コシヒカリの誕生と歴史
コシヒカリの誕生は、第二次大戦後まもなく始められた新たなお米の品種開発にまでさかのぼります。
開発から生産までの流れ
当時は食糧難の時代で、品種改良の目的は収穫量が多く、病気や天候にも強いお米の開発でした。
1944年に新潟県で研究・交配試験が開始され、1947年に福井県に送られたわずか20粒の種子をさらに育成・選抜を繰り返しました。
こうして出来上がった新しい品種は1953年には全国20府県で試験的に育てられましたが、結果は「茎が細く倒れやすい」「いもち病に弱い」「未熟米が多い」など微妙な報告が目立ちます。
ちなみに、この頃はまだ「コシヒカリ」の名前はつけられておらず「越南17号」という人造人間のようなコードネームで呼ばれていたそうです。
開発地の福井県でも「これってどうなんだろ?」と思われていましたが、新潟県と千葉県は当時の主要なお米より収穫が安定し、味も美味しいこの越南17号に注目して栽培を奨励することにしました。
越前と越後の希望の光
本格的に栽培するにあたり、この新しいお米に名前をつける必要がありました。登録は開発地の福井県ですることになりましたが、命名は種子を作った新潟県側にどうぞ!と譲り合いの精神(?)を見せます。
そこでこの越南17号は福井と新潟の古名である「越前」「越後」の両者から「越」の字を取り、両方の越の国に光り輝くという願いを込めて「越光」と名付けられました。
コシヒカリは1956年に農林登録され、農林品種としては「農林100号」というアニバーサリーな番号となります。
開発を行った福井県能事改良実験所の石墨慶一郎博士は農林大臣賞も受賞しています。
さらにコシヒカリは寒さや暑さにも強く、浸水にも抵抗力があることが知られて全国に広まっていきます。
なによりもその美味しさが高く評価され、日本穀物検定協会のお米の食味ランキングで高評価の「特A」「A」を獲得するお米は、例年コシヒカリがもっとも多い割合となっています。
コシヒカリの美味しい食べ方
さて、お米の代表と言ってもいいレベルのコシヒカリ。どう食べても美味しい優等生ではあるのですが、やはり向き不向きというのは存在します。
「不向き」といってももっと適したお米があるというだけで、決してまずいとまでは言いません
コシヒカリの美味しさを最大限引き出すためにも、向いている料理、不得意な料理もおさらいしておきましょう。
コシヒカリに適した食べ方
コシヒカリは、ズバリお米としての味が非常に優れているので、ご飯そのものを調理するというよりはシンプルにご飯単体+おかずという食べ方がぴったりです。
もちろん和食・洋食どちらでもOK。
特に漬物やおひたしなど、いわゆる「ご飯のお供」と純粋にお米の味を楽しんでいただけると日本人に生まれてよかったなぁ〜と感じることができるでしょう。
コシヒカリが苦手な食べ方
コシヒカリの魅力の一つがもっちりとした粘り気ですが、それゆえ粘り気を避けたい料理には不向きといえます。
例の一つが「寿司」です。一流の寿司職人が握ったシャリは口の中で米粒がほろほろとほどけていくようだと聞いたことがあります(食べてみたい)。
しかし、コシヒカリはその粘り気が米粒同士を結びつけてしまうため、ほどけるような食感を味わうには不向きです。
もう一つがチャーハンやピラフなどの「パラパラ炒め系」です。
やはり粘り気のために米同士がくっついてしまい、お店のようなチャーハンを作るのはなかなか難しくなっています。
チャーハンを作るの向いたお米は粘り気ひかえ目の「あきさかり」があります。もちろん普通に炊いても美味しいですよ。
コシヒカリの特徴はすなわちお米のスタンダード
というわけでコシヒカリに関するお話でした。
普段はあまり意識せずにいつもと同じお米を食べている人がほとんどだと思いますが、こういった情報を取り入れてみるとお米について考えるきっかけになるかもしれません。
コシヒカリは日本のお米のスタンダードといってもいいので、コシヒカリを食べた後に別のお米を試してみると色々なお米の個性などがわかると思います。
美・SOILのオンラインショップでは厳選した3種類のお米を生産者の私たち自ら販売しております。3種類の食べ比べセットなどもありますので、ぜひお米の奥深さを知っていただけると嬉しいです!
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