お米は炊く前に冷たい水でしっかり研ぐ——
小学校の家庭科で習いましたよね。
でも、冷たい水に手を浸してお米を何度も研ぐのは大変です。冬なんかは罰ゲームのような辛さです…
ふと、こんな風に思ったことはありませんか?
「どうせ炊くんだし、お湯で洗った方が楽だよね…?」
でも、家庭科では「冷たい水で研ぐこと」と習ったはず。どうして?
もしかすると昭和特有の「根性論」みたいなことじゃないでしょうか?根拠はないけど辛い思いに耐えてこそ一人前!みたいな…
いえいえ、実はお米を冷たい水で研ぐにはちゃんとした理由があるのです!
というわけで、今回は「お米をお湯で洗ってはいけない理由」と、冷たい水に耐えられない!という人向けの対策を解説しようと思います。
お米をお湯で研いではいけない理由
お米を研ぐのにお湯を使ってはいけない理由は、主に3つあります。
詳しく見てみましょう。
においの問題
お米を研ぐ温度とにおいが関係するなんて、あまり実感が湧かないかもしれませんが…
お米を研ぐ目的は精米の時に表面に残った「肌糠」を落とすことにあります。研ぐ時にお湯を使ってしまうと、お米が柔らかくなり吸水力が増します。
そうすると、本来落とすはずだった肌糠ごとお米に水分が吸収されてしまいます。
糠は発酵したような独特の匂いがあるので、炊き上がったご飯はちょっと食べづらい独特のにおいがついてしまうというわけです。
おいしさ成分の流出
人の唾液の中には「アミラーゼ」という酵素があり、このアミラーゼがお米のデンプンを分解することで麦芽糖に変えて、甘味を引き出すというのは学校で習ったことがあると思います。
でも、実はお米自体の中にもアミラーゼは存在します。お米は稲の種子。発芽するときに栄養分(糖)を生み出すためにアミラーゼを持っているのです。
ご飯が美味しいのは炊飯の時の温度でこのアミラーゼが働き、さらに口に入れた時にもアミラーゼが残りのデンプンを糖に変えるという二段構えのおかげなのです。
つまり、表面のデンプンは炊飯の時に糖に変わり、中のデンプンは噛むことで糖に変わるのですね。
しかしお米を研ぐ段階でお湯で温めてしまうと、ひと足先にお米の中のアミラーゼが働いてしまいます。
生み出された糖は研ぎ汁の中に溶けて、洗い流されてしまうのです。
そうなると、ご飯を口に入れた瞬間の美味しさが失われてしまいます。お湯で洗うことはご飯の美味しさの半分を捨てることになってしまうというわけです。
外はふにゃふにゃ、中はカチカチのお米に
お米の成分の多くはデンプンでできていて、デンプンは温めると柔らかく粘り気が出ます。
炊く前にお米をお湯で温めてしまうと、表面のデンプンが溶けます。そして温度が下がると溶けたデンプンは糊状に固まってしまいます。
そうなると、炊飯をしても表面の糊がガードして中に水分が入りにくくなります。
結果として外側はふやけてふにゃふにゃ、中は芯が残ったなんとも食感の悪いご飯ができあがってしまうのです。
外はカリカリ、中はフワフワ!というのは美味しい食べ物のセールストークななりますが、その逆だとどういうわけか人はおいしいと感じられないようですね。
というわけで、「お米をお湯で研ぐ」というのはご飯をまずくさせてしまう要素が詰まっている、ということになってしまうのです。
美味しく炊くには冷たい水で研ぐ
というわけで、お米を冷たい水で洗う意味は上の3つを防ぐことになります。
つまり「お米に肌糠を吸収させずに落とす」「おいしさ成分を閉じ込めたままにする」「表面のデンプンが溶けるのを防ぐ」ですね。
温度の目安は15℃くらい(水道から出てきたそのままの温度)とされています。ただし冬場などはそのままだと0℃近い水が出てきてしまうのでかなり辛いと思います。
冷たい水で研ぐといっても、アミラーゼが活発に活動する温度は25℃〜40℃となるので、手が凍るほどキンキンの水じゃなくても大丈夫です。
「ちょっと冷たく感じる」程度であればデンプンが溶けることはないので安心してください。
もちろん、体温で水が温まってきたらよくないので、研ぎは手早くするに越したことはありません。
冷たい水に耐えられない!という人は…
それでも冷たい水で毎回お米を研ぐのはイヤ!という方も多いと思います。
手は荒れるし時間もかかるし…ごもっともです。
それならば、これらの問題をほぼ解決できるお米を使ってみるのもアリだと思います。
無洗米です。
無洗米についてよく知らない…という方は他の記事で解説しているので、そちらもどうぞ!
無洗米であれば、面倒で冷たいお米研ぎからも解放される上に時短にもなります。まさに現代人の味方!
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それでは、おいしいお米ライフを!
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